はじめに
わざわざ言語化というタイトルをつけるくらい,私にとっては不得意な事の一つだ.
この不得意なことをやると決めたきっかけをまとめておく.
言語化の定義
頭の中のイメージを文章として出力すること.
脳内では構築されたネットワーク上を常に電気信号が流れている.人体の部位の中でもその構造は複雑さを極め,今も研究が盛んに行われている.思考,つまりは脳内に流れる電気信号は多くのことを可能にするが,苦手なこともある.記録と共有だ.
一つ,脳は情報を記録できない.これまで会話したことのある,全ての人の顔と名前を覚えている人はいないだろう.ましてやどんな会話の内容だったかなども含めるとなおさら困難である.
一つ,脳は情報を共有できない.残念ながら脳と脳を直接つなげて電気信号をやり取りすることはまだできない.ゆえに自己の情報を他者に伝える場合は別の手段を持ってして行う必要がある.
毎日一人で過ごすから大丈夫という人もいるだろう.なにも記録と共有は他者とのコミュニケーションだけに役立つものではない.言語化しておくことで,未来の自分とやりとりできるのだ.
言語化の気づき
ある問題を解決したいとき,専門知識だけでは太刀打ちできないことを知った.
私の特技は最速でモノづくりを行うことだ.作りたいものがあれば,頭の中で要件定義,簡易設計,材料をリストアップ,手元にあるリソース,材料の入手方法のバランスを考えつつ,場合によっては設計変更を行いながら実体化させる.
自動車会社に入社して数日が経った頃,ハンドル角制御を改良してほしいと上司に言われた.普通であればMathWork社のSimulink などを使い,仮想の物理モデルを構築することでロジックの検証をするのだが,物理世界の摩擦も考慮したかったため角度制御試験ができるプロトタイプを夜な夜な自室で作り,週明けにはプロトタイプとともに改良案を上司に提案した.あるとき先先行開発をやってみないかと誘いを受け,提案書の作成を依頼された.そのときはとにかく作る気持ちばかりが先行し,提案書を完成させずに自分の工数だけを確保して,社内にある既存の材料をかき集め,2ヶ月かけて試作車の開発を完了させた.成果物は多くの社員が試乗し喜んでくれたが,内心はもっといいセンサーを搭載したかったし,個人ではなくチームとして取り掛かれば更に良い物を作れたはずだと感じていた.思い起こせば,ベンチャーをやっていたときも投資は受けずに自己資本だけで進めていたし,研究室に所属しているときも自ら率先して先にリソースを確保することは行わなかった.
作り出す前に言語化して周囲を説得することができていれば,さらにいい材料と人材を確保し,もっといいものが作れる.エンジニアとして技術さえできればいいと思っていたが,それだけでは行き詰まることもある.ここができる人はもっと強い.
結論
とにかく始めようと思いブログを作った.
準備不足でも,不格好でもいい.
走りながら武器を拾うおうじゃないか.