搭乗型エンタメロボット

過去に会社設立に深く関わったスケルトニクス社のニュースが年末にTwitterで流れてきた.

サイバーセキュリティ領域を中心に事業を展開するココン株式会社(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長:倉富 佑也、以下 ココン社)は、エンターテイメント領域に特化した動作拡大型スーツを開発しているスケルトニクス株式会社(所在地:東京都八王子市、代表取締役:阿嘉 倫大、以下 スケルトニクス社)へ資本参加しましたのでお知らせいたします。また、スケルトニクス社が発行する転換社債型新株予約権付社債(以下、「CB債」)の引受けを行うことを決議しましたので、併せてお知らせいたします。
(略)
ココン社は、スケルトニクス社が発行する株式の一部を取得、並びにCB債の引受けを行うことにより、CB債転換後においてスケルトニクス社の発行する株式の約51%を取得いたします。
なお、ココン社は、既存事業であるサイバーセキュリティ関連事業を主力事業と位置づけており、人間拡張分野は研究開発段階の分野として向き合って参ります。

ロボットベンチャーへの資本参入は,GoogleがSHAFTを買収(その後ソフトバンクグループに移行)したのが記憶に新しい.国内でこのような事例を先行して行ったココンの決断力は凄まじい.ハードウェアスタートアップというとどうしても助成金頼みになることが多く,量産化を必ずしも目指していない法人にとって,このような研究開発を目的とした資本参加は一つのやり方なのではないだろうか.

スケルトニクス社が展開するのは人が装着する搭乗型のエンターテイメントロボットだ.スケルトニクス社以外にも搭乗型エンタメロボットは複数存在する.2017年に見かけた,また2018年個人的に注目しいてる企業を記す.

クラタス vs メガボット,完

クラタスとは倉田さん率いる水道橋重工チームが製作した全高4m重量4tの搭乗型四脚ロボットだ.2012年7月のワンダーフェスティバルにて実物が一般に公開され大きな話題を呼んだ.その3年後,2015年6月に米国のMegaBots Incから挑戦状がYouTubeで公開され,2年の歳月を経て,2017年10月に彼らの対決が行われ動画公開された.

倉田さんとは2012年4月に開催されたニコニコ超会議で一緒に登壇したことがきっかけで何度かお会いする機会があった.一度だけ倉田さんにお願いして工房を見学させてもらったことがある.本職が鍛冶屋ということで工房には珍しい機械がいくつもあった.私は高専の機械科に通っていたので多少は知っているだろうと自負していたのだが,鍛冶屋の扱う道具はバリエーション豊かだった.その中でも特に印象に残っているのは,大きな錘が上下する機械だ.ハンマーの要領で鉄を打つことができる.実際に見せてもらった.手袋をはめて鉄のバーを握りしめ,目の前で錘が勢いよくなんども降り降ろされる.みるみるうち鉄のバーが変形し,あっという間にくにゃくにゃになった.さて,クラタスはというと実際にはもう少し近代的な手法で作られているらしい.まずプラ板を組み合わせて小さな模型を作ったのち,部品を図面に落とし込み,鉄板をレーザー加工する業者に発注.届いた材料を工房にて溶接で繋ぎ合わせるという.可動部は工業用の重機を解体して可動部を再利用するか,難しいものは油圧シリンダーを購入してフルスクラッチする.それをほとんど一人で黙々と繰り返し,クラタスは完成した.制御はアスラテックの吉崎さんが担当している.私がこれまで製作したことあるロボットは800kgクラスが最高だ.手製のクレーンで四苦八苦しながら組んだ.4tともなると想像もできない.安全に組むには経験が足りないだろう.

一方のMegaBots はあまり多くは知らない.体格はクラタスより一回り大きい.おそらく重量も2倍以上はあるだろう.米国のMakerFaireに出展していたこともあるらしい.製作者は元BostonDynamicsの技術者ということをどこかの記事で目にした.

両社の対決が個人的にはとても楽しませてもらったのだが,両社の意図した成功に至ったのかはわからない.参考までに代表動画の再生回数を並べてみる.

HOW TO RIDE KURATAS – Suidobashi heavy industry
視聴回数 5,399,535 回 2012/07/28 に公開
USA CHALLENGES JAPAN TO GIANT ROBOT DUEL!
視聴回数 7,618,043 回 2015/06/30 に公開
THE GIANT ROBOT DUEL
視聴回数 4,331,509 回 2017/10/17 に公開

巨大ロボット「MONONOFU」

2017/12/05 にYoutubeにて公開された,榊原機械株式会社によるアミューズメントロボット.榊原機械はランドウォーカーを開発した企業でこの業界では古参だ.HPを覗いてみると,元々は環境保全機械と畜産向け飼料装置,堆肥化装置の設計開発を行っており,その技術力を元にアミューズメント関連事業を展開してきたらしい.

残念ながらこれまでに従業員とお話する機会は無かったが,スケルトニクス社に所属しているときに何度かニアミスすることはあった.エンタメロボットの収入源の一つに,地方の科学イベントへの派遣がある.これは私の解釈だが,公共の大きな施設(例えば発電)のある地方では,住民の理解をスムーズにするため,最先端の科学機器を展示したり,サイエンスショーが行われたりしている.なぜか仮面○イダーやプリ○ュアも来るが 笑 .そこで目玉展示となるのがロボットだったりするわけで,毎年イベントを開催していると同じロボットだと飽きるのである.なのでエンタメロボットを展開する会社が順繰りで依頼がくる.例えば,前年は榊原機械のサイクロプス,一昨年はロボガレージのロビ君というように.そんな中,たまたまお台場で大きなイベントがあったときに,榊原機械と共同で展示を行うことがあった.これは従業員とお話できるチャンスと思ったのだが,会場にはバイトのロボット体験受付のみ.イベント主催者に榊原機械のスタッフはどこにと聞いてみると,搬入搬出以外は来ないとのこと.マニュアル完備でスタッフ不在で動作させても,これまでトラブルは起きていないと..ロボットの派遣事業で一番の支出は従業員の拘束である.直近の売上に繋がるとはいえ,貴重な従業員を拘束されたら開発は止まってしまう.かといって専門の従業員を雇うほど頻繁にイベントがあるわけでもなく,このような展示は技術者が直接出向くのがほとんどだろう.ここに長年産業機械を作ってきた榊原機械の強みを見た.

さて,MONONOFUは全長約8.5[m],総重量約7.3[t]とクラタスより大型のエンタメロボットだ.今,現在は大きすぎて工房から出せないとのことだが .いつか実物を目にしてみたい.きっとサイクロプスがイベントで見せてくれたような,榊原機械ならではの運用力の高さでたくさんの子供たちを喜ばせてくれるはずだ.

J-deite RIDE

2017中に完成予定の株式会社BRAVE ROBOTICSが開発する全長3.5mの変形ロボット.現在はティザー動画のみ公開されており,おそらく2018年に発表されるとみている.

開発チームの石田賢司氏はこれまで何十台と変形ロボットを作られた方だ.実際に見せてもらったが,車から人型へスムーズに変形するのは何度見ても面白い.私も過去に握力増幅装置に変形するカバンを作ったことがある.物体が勢いよく変化する様は気持ちいい.また機会があればDynamicsを考慮した変形機構を開発してみたい.

Prosthesis robot

CES2017にて静展示CES2018で公開されたJonathan Tippettが開発した3.6トンの搭乗型ロボット.ロボット同士でのMECH RACINGの実現を目指している.Anti-Robotという名義でも活動している,

5年前くらいからWEBで見かけていたがついに完成したかという感じ.CGで二号機が出てくるあたりまだまだ開発意欲は衰えないようだ.ぜひ実物をみてみたい.

 

他にもあったと思うのが特に身近に感じたものを挙げてみた。国内だと東京オリンピックが控えているのでこれからもこのような企業、団体は出てくるかもしれない。